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24時間セルフジムの行方-これからどうなる?どう考える?市場・顧客の動きと効果的な対応方法




ポートメッセなごやで開催されたスポルテック2021で、セミナーを担当させていただきました。

名古屋初の記念すべきスポルテック2021ですが、残念なことに開催地である愛知県は緊急事態宣言中。県をまたぐ不要不急移動には自粛要請が出ており、来場を断念された方も多いはずです。

今号では、セミナー内容を一人でも多くの方へ知っていただくため、内容を一部紹介していきます。


参加率3.33%の謎

日本のフィットネス参加率は低い!世界の主要国と比べると成長の余力が十分にある!

24時間ジムのFC説明会では必ず聞くフレーズではないでしょうか?

実際にIHRSAのレポート資料は誰でも購入が可能です。そこでの数字では確かに3.33%になります。でも考えてみてください。施設数は4950施設となっているではないですか!24時間ジムFCでトップを走るエニタイムフィットネスは900施設を突破したとHPには記載されています。女性専用カーブスも2000店舗を突破と決算説明資料には記載されています。この2社だけで約3000店舗です。全体の3/5を占める計算になります。

業界人であれば参加率の算出根拠を知っているでしょうが、FC説明会に参加される方たちはブルーオーシャン市場だと勘違いさせられてしまうのです。こうして不幸なフィットネスジム経営者が数多く生み出されてきました。


アメリカの今

リポートによると、「2020年12 月データは、2019 年 12 月と比較して、アクティブメンバーが 77% 正常に戻り、総収益が 80% 正常に戻ったことを示しました。

ワクチンがより広く流通するようになると、フィットネス業界はこれまでで最も強い年になるでしょう。新年の3か月余りで、すべての主要業績評価指標のカテゴリで大幅な改善が見られています。」とあります。約60万人が犠牲になったアメリカでも、フィットネス業界は急速に復活しています。同じことは日本でも期待できるはずです。


24時間ジムの淘汰はすでに始まっている

総合クラブは今まで自粛していた高齢者層を取り戻し、会員数をV字回復させていくでしょう。そのためには今までお荷物と思われていたプール施設を活かし、様々な体力増進プログラムを提供していくことです。このように対策を講じられる総合クラブと比べ、24時間ジムは戦う術がありません。ジムの数もこの数年で劇的に増え、主要地域では淘汰が確実に始まっています。

とある大手チェーン店は、地方都市の複数店舗で施設リニューアルを行い、同時に会費を8,000円から5,980円へと大幅に改定してきました。また、店舗面積が小さい、坪賃料が高い店舗は潔く閉鎖しています。

今までのチェーン店は、全国一律料金で共通利用などを行うクラブが殆どでしたが、その足枷がこれからは不利になるケースが多いと思われます。今後は全国一律料金が崩れ、各地区、店舗ごとに生き残りのために対策を講じなければならない時期が来たといえるでしょう。


淘汰される24時間ジム

坪数が小さい70-100坪 70坪規模ではフリーウェイトエリアが満足に揃わないため、メインターゲットである20-30代の男性会員を確保できない。100坪クラスになるとフリーウェイトエリアは充実できるが、メインターゲット層以外は運動エリアが増えるわけでも、指導サービスが向上するわけでもないので集客が増えない。

何よりもジムの数が増えすぎているので、放置型で勝ち残るには価格を徹底して安くするしかない。

新しく出店するクラブは、究極の後出しじゃんけんが可能なので、規模も大きく、運動アイテムも多く、価格もリーズナブルで出店してきます。

放置型で便利さだけを売っていたクラブに勝てる要素はないのです。


欧米を参考にしてみる

YouTubeでアメリカの大手24時間ジムを検索してみてください。10ドル程度の月会費で利用できる大型24時間ジム。小振りだけども様々なグループレッスンやサポートを提供する24時間ジム。2極化しているのがわかります。

欧州ではスタジオ付きで成功しているチェーン店など、参考になるポイントが沢山あります。現在日本で主流の放置型24時間ジムは、今後も成功するビジネスモデルではないと感じるはずです。


勝てる24時間ジムの条件は

① 坪数

魅力的なジムを作ろうとすれば、柱や形状にもよりますが100-120坪必要です。女性を獲得したければスタジオを。中高年も獲得したければファンクショナルエリアを導入します。両方導入すれば坪数は160坪に達します。スタジオを導入すれば様々な仕掛けが可能です。例えオープン当初はバーチャルのみの運用であっても、無いと有るでは段違いです。

私は出店する場合150-200坪を探します。あとから坪数だけはどうすることもできませんからね。

② 価格

地域にもよりますが競合が多い地域は価格が下落傾向です。

価格を改定する場合、利用エリアを制限することで会費を下げる方法もおすすめです。フリーウェイトエリアを利用されない会員種別を設けることで、会費を安くして競争力を高めます。全会員種別を下げるわけではないので導入しやすいです。

どちらにしても6,000円を切る、地方では5,000円を切る価格帯が勝負ラインとなるでしょう。

③ 指導サービス

初期定着に特化した指導サービスを行わなければ、市場はすぐに食い尽くしてしまいます。総合クラブの運営者は痛感しているはずです。歴史が浅く、業界未経験企業が多い24時間ジム業態がこれから直面する問題です。

競合も増え、会費を安くしても、あらゆる販促をしても反応がない・・・。

気が付いた時には手の施しようがありません。そうならないためには、少ないスタッフ数でも初期定着サービスを提供することです。その地道なサービスが市場を循環させることにつながります。具体的な手法に関してはバックナンバーを見返してください。

④ SNS販促

魅力的な指導サービスを提供していたとしても、知っていただけなければ集客につながりません。成功するクラブはSNSを使い上手にPRを行います。YouTubeで地域名×ジムで検索して自身の店舗投稿は全体の何割を占めますか?Google ChromeであればシークレットモードでYouTubeを開き検索すれば、閲覧履歴に関係なく表示されますので確認してみてください。そこで表示された投稿数が多いほど、閲覧者はその地区でメジャーなジムだと認識するわけです。その動画の中で、指導サービスや会員との関わり、スタッフの人柄をPRすることで入会意欲を高めさせるのです。

YouTube以外にも、Googleマップでの表示順位はどうでしょうか?順位を上げるために口コミ投稿を増やす努力をされていますか?

OPENしてしまえば、新鮮味はどんどん失われていきます。ジムの鮮度を保つにはSNSでの情報発信を努力する以外道はありません。特にFCに加盟していないジムは生命線になってきます。

⑤ スタッフ採用

男女比が8:2で男性が圧倒的に多い24時間ジム業界ですが、女性スタッフを多く採用し、指導サービス、SNS投稿を続けていくことで男女比率は大きく改善できます。特にスタジオを併設するジムの場合45%まで女性比率が上がってきています。ただし、女性トレーナーは知識がない方が多いので、スタッフ教育には結構な労力が必要です。


再生への道 諦めるにはまだ早い

勝てるジムの条件を満たしていない。特に坪数が足りない・・・。さすがに坪数が少ないと再生の道は遠のきます。低価格戦略を行うにも限界があるでしょう。では閉店しか道がないのか?

私には2つの提案があります。

① 女性専用ジム

② プログラムフィットネスジム

女性専用ジムは市場が豊かで、その分競合も多いエリアに最適です。男女型としては小振りであったジムでも女性専用24時間ジムとなれば競合もほぼ存在せず、完全なブルーオーシャンとなります。男性エリアを整理し、別途有料のリフォーマーピラティススタジオを新設できれば競争力はさらに増します。

プログラムフィットネスジムは、運動の順番や内容がすべて決まっているベルトコンベア方式のジムです。日本人の多くが受け身的な方が多いので、プログラムフィットネスは最適なのです。

どちらの提案も大掛かりなものになりますが、トレーニングマシンの多くは活用できますのでリニューアル費用はさほど必要としません。


まとめ

スポルテックセミナーの一部を紹介させていただきました。次号には最新の24時間ジムや紹介したプログラムフィットネスジムや女性専用ジムなど、夏に向けてオープンが続きますので記事にしていきたいと思います。

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