総合フィットネスクラブ 終わりと始まり


昨年2月に政府から「不特定多数が接触する場所」と名指しされたフィットネス施設。

結果、大量のコロナ退会、幽霊会員の一斉退会も相まって総合クラブは40-50%の会員数を失いました。あれから1年、閉店するクラブも続々と出始め、年内は閉店ラッシュになることは確実です。

一方では事業再構築補助金が起爆剤となり、皮肉にもフィットネス事業新規参入を検討する企業が激増しています。

大半は24時間ジムへの参入相談であり、当社では対応が追い付かず、多くの案件をお断りするほどの異常な状況です。

これは隆盛を誇った総合クラブが衰退し、24時間ジムを中心とした小型店舗時代が始まるのでしょうか? 


総合クラブの現状

総合クラブがコロナ騒動で大きく会員数を落とした原因に、幽霊会員の一斉退会があります。会員数の20%〜25%が月間利用0回、それも複数月に渡って0回という方も多いと思います。世の中が不安で先行きが見えない時期に、クラブを辞める決断をされるのは当然です。さらに月間利用3回までの低利用者を含めれば40%〜45%と、今回総合クラブが失った会員数と合致します。加えて、定期的に利用していた高齢者も連日のテレビ報道で休会・退会へと流れたわけです。今までの退会者の再入会率を当てはめてみれば、総合クラブの会員数が戻らない現状は当たり前だということです。

新規会員を獲得しようとしても、周辺には24時間ジムが笑えるほど増えています。選択肢が増えるということは、当然集客が分散しますので思うような会員獲得には至らず意気消沈。現在はこんなところではないでしょうか!


総合クラブの反省

私の長い業界経験で感じることは、クラブとしての完成度は35年前くらいが一番良かった!ということです。施設はコンパクトで、スタッフは個性的で能力も高く、会員を名前で呼び、さまざまなクラブ外イベントやパーティも盛んでした。たくさんのカップルが生まれ、結婚し、子供が産まれ、スイミングスクールに入会する・・・そんな幸せの連鎖がありました。質向上のために接客サービス、会員フォローなどの研修も積極的に行われていました。

ある意味完成しつつあった総合クラブが、道を踏み外したのがバブル期です。競うように大型複合店舗を出店し、会員もオープン前に目標会員数を達成!そんな時期でした。現場は手に負える会員数ではないため、指導サービスは疎かになりサービスレベルの低下は酷いものでした。一見成功しているように見えても、崩壊は始まっていました。

バブル崩壊、リーマンショックと不景気が訪れるたびに、個性的で優秀なトレーナーは姿を消し、学生アルバイトが並ぶようになり、フリーのインストラクターは社員のプレコリオに変わり、指導サービスも適当な今の総合クラブが出来上がりました。ここまで読んでわかるように、既に衰退していたビジネスモデルで、コロナはトドメに過ぎなかったということです。

総合クラブの今

皆さん口々に言います。「コロナ禍で生き残るのはスイミングスクールが強いクラブや、自社物件のクラブだろう。テナント入居クラブは、契約期間満了のタイミングで続々閉店していくことになると・・・。」

例>某実在スポーツクラブ 2001年7月オープン、2021年6月30日閉店。20年のテナント契約が終了したのかな?と推測できます。

では、再生の手段はないのか?今のまま何もせず手をこまねいては、消耗するだけで勝負の時期を逃してしまいます。

現在見かける戦法としては、24時間営業にする!バーチャルレッスンを導入する!この程度だと思います。

果たしてこれでV字回復が可能なのでしょうか?

この手法は競争が激しくなった24時間ジム業態が、新規店を考える際に取り入れる内容です。

24時間ジム業態の今後

ここで一旦24時間ジムへ話を変えます。24時間ジムもこの数年でめぼしい立地には必ず存在するまでに勢力を伸ばしてきました。すでに飽和状態で、今後は淘汰の時代となっていきます。特にパチンコ店などの業態変更の場合、土地・建物は自社物件というケースも多く、大規模且つ低価格戦略で出店して、エリア勢力図を一気に書き換えようと画策しています。

フリーウエイト、プレートローデット、ケーブルマシンをしっかり揃え、さらにバーチャルスタジオやピラティススタジオ、さらにはボルタリングなども楽しめるといった、海外で見られる規模の店舗が今後どんどん出店してきます。

既存のジムだけの24時間ジム、FCで会費戦略に自由が利かないジム、個人が独立開業した資本力のないジムは、究極の後出しじゃんけんに成す術もなく、淘汰されていくと思います。

規模と料金に勝つためには24時間ジムもソフトで差をつけるしかないのです。

総合クラブの今後

総合クラブの原点は、インストラクターによる素晴らしいサービスのはずです。決して施設が大きいだけが特徴なわけではありません。

なのに、現在では24時間ジムが流行っているから24時間営業だ!人件費削減でスタジオプログラムが寂しいからバーチャルだ!と、24時間ジムへ寄せていっています。24時間営業で目覚ましく会員が増えましたか? 答えは否です。バーチャルスタジオは流行っていますか? 否、閑古鳥のはずです。24時間ジムでも併設するバーチャルスタジオ利用を活性化するのには結構な努力が必要なのです。リアルレッスンが自慢の総合クラブが、バーチャルレッスンに戦略もなく逃げては、良い結果を生むわけがありません。

ではどうすればよいのか?

例として考えていきます。

① 会費について

日本のフィットネスクラブの会費は高い。それはサービスが料金に含まれるからです。使い倒す会員にとっては天国ですが、大半が使い切れていないはずです。まずこの不公平感を解消します。全体の会費を下げて、プログラムの有料化しましょう。どの程度の会費が妥当かといえば、24時間ジムと同じ金額となります。これは指導がない素の状態で納得いただける料金であることは24時間ジムが証明しています。

プログラムに関しては、スタジオ定員とインストラクターのフィーで決めます。コロナ前とでは定員も半減しているわけですから、フリーインストラクターのフィーが高く感じ、値下げしたくなる気持ちはわかりますが、そこは我慢しなければインストラクターが流出するだけです。あれだけ流行ったアクアビクスが、インストラクター流出で衰退したのを忘れましたか?一度信用を失い離れたインストラクターは戻ってきません。インストラクターのフィーは完全歩合or最低保証+歩合に変え、3か月間の移行期間は現在のフィーを維持するなどの対策をとります。

会員からはプログラム参加料金を徴収し、インストラクターのフィーに当てます。ジムのパーソナルトレーナーと同じ仕組みに変えるわけです。

スタジオが2つある場合は、1つが社員スタッフによる初心者向け無料レッスン。1つがフリーインストラクターの課金型スタジオとするとベストです。また、小型のスタジオを用意し、セミパーソナルレッスンなどを実施することもよいでしょう。インストラクターはまるで自分でカルチャースクールを開いたかのように、SNS発信などを頑張る姿が目に浮かびませんか?

② ジムマシンについて

インストラクターと話をすると、口々にフリーウエイトが足りない。もっと揃えないと24時間ジムに会員を奪われる。と言います。確かに一理ありますが、24時間ジムのメインの客層である若い男性は、通うところが沢山あるのです。同じ土俵で奪い合いをするよりは、24時間ジムが苦手とする層を強化するほうが絶対得なのです。私は総合クラブのリニューアルも行っていますが、フリーウエイトは大胆にも撤去し、空いたスペースに他のクラブが真似できないプログラムフィットネスを導入しています。初心者や女性が悩まずに運動できるように、緩めて、整えて、固めて、やせる。といった4つのブロックを60分で回り、最後にBFR加圧のプチパーソナルを受けられるという流れです。今ご紹介したのは一例ですが、価値あるプログラム、できれば受け身的なプログラムが望まれています。

③ 更衣室について

昔から私はこだわるエリアですが、ロッカーを間引き更衣ブースを設けます。女性同士でもプライバシーへの配慮は大切です。また脱衣室一体型個室シャワーを増設するなど、生理対策も考えたつくりも大切です。どうしても総合クラブの設計には女性目線が欠ける傾向が多く、大きな風呂とサウナがあれば会員は喜ぶと考えている方が多い。スーパー銭湯はそのような作りだ!と反論も受けることも多いですが、目的が違いますからね!

④ 販促について

私は必ず「専門店の集合体と見せましょう!」と言います。

何でもあるけど中途半端と思われているのが総合クラブです。

スマートフォンでの検索が93%を占める今、小さなスマートフォン画面に映し出される画像が、求めているイメージと一緒でなければ興味を持っていただけません。

エリア毎に、スタジオはさらに細分化されたランディングページを作成していく必要があります。この点はすぐにでも取り組むことです。業者に依頼しなくても、努力は必要ですが無料ソフトを使い自身でも作成は可能です。作成し、運用し、広告文を自分で考えて取り組むことで、分かってくる点も多いです。

インターネット時代になり、施設の規模で検索順位が左右されるわけではないので、しっかりと対策を行うことです。


まとめ

急激に環境が変わってきました。良い立地に大きな施設を構える総合クラブは、まだできることが沢山あります。総合クラブだからこそ出来ることを取り組んでいただきたい。マシンが置いてあるだけの空間をフィットネス業界だと私は思いたくない。






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※記事は6月末に執筆しています。 40万人が死亡すると警告され、全国に出された緊急事態宣言も5月末に解除され、全国的にフィットネスクラブ営業再スタートとなりました。 振り返ってみれば、医療関係者並びに関係者の努力により、心配されていた医療崩壊も起きず、死者数も世界最低水準で抑えられ、第一波では最悪シナリオを回避できたわけですが、連日のメディアによる熱心な報道で、しっかり恐怖心を植え付けられてしまい