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執筆者の写真isokari3

トレーニングマシンブランドを考える

更新日:2020年1月30日


スポルテック2018の感想です。

フィットネスクラブでよく見かけるアメリカ・ヨーロッパの有名メーカー以外にも多くのマシンメーカーがあることに皆さんビックリされるはずです。その多くが中国などアジア圏で生産されるメーカーなのですが、日本人の感覚としてアメリカ・ヨーロッパ製品と比べると品質・性能で劣っており、購入する対象ではないと考えている方も多いでしょう。

私もそんな一人だったわけですが、最近ではクライアントクラブなどにも導入され、実際に使用してみると、「おっ良いじゃないか!」と逆に期待を裏切る性能であったりします。

スポルテック2018では中国マシンメーカーの社長と直接長時間お話をする機会があり、色々と教えていただいたのですが、私の知らない裏話を多く聞くことができました。

その中の一つが、欧米有名ブランドのマシンを何ブランドも製造しているということ。要はアメリカのメーカーといえども、製造は中国で行っており世界中に出荷されているということです。

そのようなメーカーが、中国国内や周辺国のフィットネスブームに対応するべく独自ブランドを販売している。

有名メーカーは販促など様々なコストがかかりますので実購入価格はどうしても高くなります。大手のクラブであれば特別な割引も適応されるでしょうが、地方のクラブやこれから独立オープンを目指すオーナーには高嶺の花であることも事実です。

ちゃんと探せば、同等の商品が30%程度安く購入できるかもしれません。

ただし、スポルテックなどに出店していないメーカーには相当な粗悪メーカーもありますので安さだけで飛びつくのは注意が必要です。

欧米マシンメーカーにあこがれを持つ理由

そもそも、なぜ欧米のメーカーにあこがれを持つのか? この点についても考えてみましょう。

トレーニング雑誌やYoutubeなどで、有名なボディビルダーやアスリートがトレーニングしているマシンにあこがれを持つ心理が大きいと思います。日本人は案外アメリカ贔屓です。戦後そのように誘導されたこともあるのでしょうが、アメリカからの情報は鵜呑みにする傾向があり、フィットネスに関してもアメリカが先進国で真似をする対象とされています。アメリカのジムではアメリカメーカーのマシンが揃っているのは当然で、車に例えればアメリカでアメ車が多く走っていることと何ら変わりはありません。もう少し視野を広げる必要もあるかもしれません。

ジムのトレンドについて

トレーニングマシンに関しては、数十年基本的なつくりは変わっていないと思います。椅子の操作が簡単になった程度ではないでしょうか?既存店では性能に大幅な進歩が無ければ新品のマシンに入れ替える必要もなく、現在主に購入されるのはオープンラッシュの24時間ジムくらいかと思います。

それを意識してかスポルテック2018でもトレーニングマシンの陳列は減り、ファンクショナルアングルやグループトレーニングのラインが多く展示されていました。

続々と増える24時間ジムはマシンとフリーウェイトで構成され、最近ではゴールドジムに近いフリーウェイトゾーンを備えたクラブも多くなり、今後この傾向は益々進むと思われます。

総合フィットネスクラブは、お年寄りとスタジオ好きの方が通い、24時間ジムなどに若者やトレーニング式が高い方が通うという図式が見えてきます。

そんな中、ファンクショナルアングルやグループトレーニングなど人的サービスが必要で、24時間ジムには無い楽しさを提供できるアイテムは、総合クラブにとって欲しいアイテムであることは間違いありません。

けれども、実際に購入するには結構なハードルがあります。

1. スペースの問題 

20坪~30坪程度は必要となるため、ジムを整理する必要があります。けれども、多くのクラブはランニングマシンなどのカーディオは多いが、ウエイトマシンは各1台でフリーウェイトエリアは最低限というところが多いです。そうなるとカーディオを間引くしかスペースを生み出せなかったりします。

2. 過去の黒歴史がブレーキに

数年前TRXが日本にやってきたころ、多くのクラブでアングルを設置しTRXプログラムを提供しましたが、今でも人気プログラムとして活躍しているクラブは極わずかだと思います。良いのは理解していても過去の失敗で踏み出せないクラムも多いはず。

3. レッスン時間以外の利用

レッスン以外のフリー利用時間のほうが圧倒的に長いわけですが、動きが単調なマシントレーニング指導とは異なり、ファンクショナルトレーニングを指導するには知識と技能が必要です。数多くのスタジオプレコリオを提供しながら、合間を縫ってスタッフ育成が対応できるのか。

これらのハードルを越え、導入にこぎつけたとしても最初は集客に苦労することでしょう。なぜなら若者にも空前のトレーニングブームですが、それはフィジークやフィットネスビキニなどのコンテストに影響された、見栄えの良いカラダを目指すトレーニングだからです。それでも諦めずに時間をかけてファンを増やしていけば競合にない強みとなるでしょう。それだけ難しいアイテムだと思います。

ヨーロッパの最新フィットネス

全身EMSスーツでのトレーニングが複数のブースで紹介されていました。短時間で効率よく結果が出る!を謳い文句に、今年からチラホラ出店が見られる業態ですが、スモールグループのセミパーソナルという今までにない隙間を狙える業態だと感じました。日本では未知数ですが、CMでもお馴染みのSIXPADなどがリアルな店舗展開を開始していることから、ある程度の将来性を感じます。

心配なのは昔からEMS商品は何年か置きにブームが来ては去っていくものなので、本当に効果が出るのか?ブームで終わらないためには結果にかかっていると思います。

EMSスーツとともに注目したのは、動きをキャプチャし精度を計測する機能を備えた大型スクリーンで、バーチャルパーソナルトレーニングを行うPixformanceというマシンです。ドイツでは500店舗を超える店舗で導入されているそうです。複数台を円形に配置し、サーキットトレーニングとして提供されており非常に成功しているそうです。日本ではサーキットトレーニングと言えばカーブスですが、ドイツ発で新たな小型サーキットジムモデルも登場するかもしれません。

本気のトレーニングを考えるアメリカ、新たな発想でユニークな商品を開発するヨーロッパ。

今後は両方に目を向けていく必要がありそうです。

まとめ

総合クラブ同士が競合と呼ばれていた時代は過ぎ去り、24時間ジムやマイクロジムも競合となりえる時代です。何を強みとしてクラブを繁栄させていくのか。本気で考える時期だと思います。特に今後はトレーナーの確保が更に難しくなってきます。リーマンショック後に人件費削減のため肩たたきをした付けが回ってきたのでしょうか。優秀なトレーナーほどプレコリオと雑用ばかりの総合クラブは就職したいと思わなくなり、パーソナルトレーナーの道を選んでいます。

さあ、皆さんのクラブの奥の手は何ですか?


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